【アルマトイ発ツアー】ブラックキャニオン・コルサイ湖を巡り、ユルトで過ごした最高の夜

ロシア式サウナのおかげもあって昨晩は快眠。朝7時半に集合場所へ向かうと、今回のツアーは20代〜30代が多く、ヨーロッパ系とアジア系の比率はちょうど半々くらい。これまでずっとアジア人が自分だけという環境が多かったので、ようやくマイノリティから脱却できたこの状況に、思わず肩の力が抜ける。

思えばバルカン半島を回っていた頃は、ヨーロッパ諸国からLCCでサクッと飛んでこられるせいか、10代〜20代前半のパーティー好きが多かった。彼らはヨーロッパ人同士で固まりがちで、振る舞いが少し幼く見えることも少なくなかった。もちろん年齢というより個人の経験値によるものだし、良い出会いもたくさんあったのだが。

それに比べて、わざわざこの中央アジアまで足を運んでくるヨーロッパの人たちの雰囲気は落ち着いていて、いまの自分の旅のテンションにとてもしっくりきている気がする。

ブラックキャニオン

ウイグル人の居住エリアなどを通り抜け、11時半頃にブラックキャニオンへ到着。予報は雨だったが、なんとか持ちこたえてくれた。

目の前に広がる、どうだと言わんばかりの荒涼っぷりを見せつけられると、「いやはやカザフスタン、とてつもなくデカいな」と、ひどく月並みな感想しか出てこないが、もうとにかく広い。

景色を眺めている途中、フランス人の女の子からカザフのタバコをもらい仲良くなった。シガーのように甘くて美味しい。お洒落なパッケージで、最初の一本を逆向きにして最後に吸うと幸運が訪れるという願掛けがよく似合う。

途中、はちみつの販売所にも休憩がてら立ち寄った。「ははん、さてはこのツアー会社、売上の何パーセントをバックとしてもらっているのだな」などという、いやらしい資本主義的な思考がひょこっと浮かんできたので、いかんいかんと脳の片隅へと無理やり押し込み、ただただ静かに流れる時間を過ごした。

ガイドによると、カザフスタンの国旗は昨年のとあるランキングで「世界で最も美しい国旗」に選ばれたという。鮮やかな水色の空を背景に、金色の太陽と一羽の鷲、そして左側には伝統文様。たしかにめちゃくちゃかっこいい。

昼食

14時ごろ、遅めの昼食。大きめの長机をみんなで囲み、ガイドからカザフスタン特有の食習慣についてレクチャーを受ける。

印象的だったのは、この国で日常的によく飲まれる紅茶の注ぎ方について。お互いにお茶を注ぎ合う際、お茶が冷めてしまわないよう、もしくは一緒に長く楽しみましょう、という意味を込めて、あえてティーカップには少量しか注がないのが礼儀なのだそうだ。そして、相手が「もう少しください」と要求して初めて、たっぷりと注ぐ。つまり、最初から満杯に注いでしまうのは、マナー違反にあたるという。

よし、早速そのマナーを実践してみせよう。そう一人で張り切っていたところ、左隣に座っていたロシア人によって、私のカップには紅茶が満杯に注がれてしまった。容赦のないなみなみ具合である。

ちなみにそのロシア人曰く、「アルマトイの街並みはロシアと全く一緒」とのこと。繊細で丁寧な文化を学んだ直後だっただけに、彼の大雑把なキャラクターが、なんだかとても愉快に感じられた。

食事にもちょっとした作法がある。最初のスープを完全に飲み干さないことには、他の料理に進めないというのだ。運ばれてきたスープは、ディルの香りとコンソメ感が絶妙にマッチして美味しかったのだが、熱い紅茶に温かいスープを立て続けに流し込んだせいで、すっかり汗だくになってしまった。

たまらず喉を潤そうとティーカップに手を伸ばすと、紅茶は少しばかりぬるくなって飲みごろになっていた。隣のロシア人が紅茶をたっぷり注いでくれたのは、カザフのテーブルマナーを無視してでも、熱い紅茶を早く冷まそうとしてくれた彼なりの気遣いだった。そんな美しい思い出にしておこうと思います。

スープを無事に飲み終え、卓上にあるサラダや焼き菓子、ドライフルーツをつまみながらメインを待つ。

ひときわ目を引く白いボールは、クルトと呼ばれる乾燥チーズ。古くから遊牧民のタンパク源として食べられている超濃厚なチーズなのだが、一口かじると口内の水分が根こそぎ持っていかれるため、十分な警戒が必要である。

その隣に添えられた茶色い粉はジェントというお菓子。こちらはきな粉とクッキーを混ぜたような、妙に懐かしくて優しい味がした。

そしてメインに出てきたのは、中央アジアを代表するソウルフード、プロフ。メインディッシュがお米になったことで、景色だけでなく食文化も確実にアジアへとシフトしているのを感じる。肉と人参の旨味が米にしっかり染み込んでいて、とても美味しかった。

コルサイ湖

コルサイ湖に到着。斜面を覆い尽くす針葉樹林と、透明度の高い水面が広がっている。この湖がエメラルドグリーンに見えるのは、「ロックフラワー」と呼ばれる氷河が削った極小の岩の粒子が水に含まれていて、それが光を綺麗に反射するからなのだそうだ。

湖畔では6000テンゲ(約2000円)で乗馬体験もできたのだが、「明日のカインディ湖で乗った方が面白いよ」というガイドのアドバイスに従い、ここではのんびりと湖周りを散歩して楽しむことにした。途中、ボート乗り場があったため、せっかくだからとツアーの仲間たちと一緒に湖の上へ。大自然のど真ん中でキャッキャと無邪気に遊んでしまいました。

ユルト&夕食

宿泊先のユルトに到着。晴れていれば星空が見えるそうだが、あいにくの曇り空。雨が降らないことを祈りつつ、ブランコに揺られてのんびり過ごした。

19時ごろ、夕食。焼き菓子やドライフルーツをつまんだ後、メインとして運ばれてきたのは、牛肉が乗った中央アジア名物の麺料理、ラグマン。ひとくち啜ってみると、口の周りがテカテカになるくらいには少々油っこかったのだが、この野性味あふれる油っぽさがクセになる美味しさだった。

途中、同い年で愛すべきお調子者のオージー(オーストラリア人)と「ビール飲もうぜ!」と勢いよく注文しに行った。しかし、どうやらこのグループでお酒を飲むのは我々2人だけ。パーティー好きばかりだと疲れるくせに、いざ飲む人が少ないと寂しくなる。つくづく無い物ねだりである。

とはいえ、夜のユルトは大いに盛り上がった。事の発端は、お調子者のオージーが日本人親子をみて「あの二人、カップルか?」とトンチンカンな探りを入れてきたことだ。「いや、どう見ても親子だよ!」とツッコミを入れるも本人は信じず、そこから参加者の関係性を当てる「Sibling or dating(きょうだいか、恋人か)」ゲームがスタートした。

ちょっと間抜けなオージーくんでさえ、いわゆる一般的なカップルは余裕で見破ることができたのだが、中国人の38歳女性と22歳男性という謎多きペアを前に、我々はすっかり頭を抱えることとなる。

答え合わせの結果、これがまさかの「元教師と教え子」という禁断の年の差カップルであることが発覚。これにはユルト内も一時プチパニック状態に陥り、「どっちから告白したんだ!?」「教師そしてそれはどうなんだ!?」「でも生徒からしたら夢見たいな展開じゃないか!?」と、大人としての遠慮を完全に捨て去った質問攻めの嵐となって、馬鹿みたく笑い合った。

キャンプファイアーと星空

夕食後は、外に出てキャンプファイヤーの火を囲んだ。お互いの旅のルートやこれまでのこと、それぞれの国の事情から日々のささやかな生活に至るまで。大自然の中で火を囲むと、人間はどうしても語り合いたくなる生き物らしい。とてもいい時間。

せっかくだからとシーシャも頼んで、たくさんビールを飲みました。

夜中12時頃、気づけば残っているのは僕とあのオージー君の2人だけ。「やっぱりお前か」と、きっとお互いに思っていたと思う。

いつかの間にか雨も上がっていたため、「最後に少し散歩でも行くか」と外へ出ると、そこには見事な月と満天の星が広がっていた。

「すげえ、300個は余裕で見えるぞ」と感動を伝えたのだが、あいにく彼はメガネをユルトに忘れたらしく、「いやいや、いくらなんでも嘘だろ」と全く信じようとしない。仕方がないのでiPhoneで撮影して証拠を突きつけると、やっと「嘘だろ、やべえ!!」と叫び、急いでメガネを取りにユルトへ駆け戻っていった。最新のIphoneは肉眼以上に星をくっきりと捉えるため、撮った僕自身が一番びっくりしてしまった。

なお、そんな星空の下で、彼は「俺は地動説を信じていないんだよね」と突然よくわからないカミングアウトをしてきた。ガリレオも真っ青である。やはりこのオージーくん、根本的に何かが狂っていて大好きだ。

星空を見上げながら他愛もないことを話していると、気づけばあっという間に2時間が経っていた。シャワーを浴びてベッドに倒れ込んだのは、夜中の2時半ごろ。本日も一日、お疲れさまでした。

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